you shook me
わたしにとっては Led Zeppelin の 1st で最初にカバーしようとして、でも結局は声のキー(E)が全く合わなくてすぐに諦めた曲。今なら1オクターブ下げて唄うんだけど、どちらにしろ当時使ってたギターではメロディー弾きでのトレモロアーム操作一発でチューニングが狂う事間違い無しで(わたしの張り上げた罵声と共に)とても他人にお聞かせできる演奏にはならなかった。
ところがしばらくして Jeff Beck Group のバージョンを聴いて
(こちらはキーF#) Rod Stewart が気持ちよさそうに唄っている。 アレンジもこっちの方が全然カッコいい。 これなら出来そうだと思いながらも ZEP のトラウマを引きずってままに・・・
まあそんな事はいいとして、当時最初にこの曲のカバーを録音したのは Beck の方で、それを Beck から聴かせてもらったJimmy Page が断りも無しに自分のバンドでリリースして仲違いの原因になったというエピソードがある。 彼は Eric Clapton とも "Snake Drive" "Tribute To Elmore" という自宅でプライベートに録音した2曲を勝手に "Blues Anytime" というアルバムで発表してトラブルを起こしている。 ZEP がバンド仲間で評判が悪かったのはこんなところも原因しているのだろう。
オリジナルの muddy waters のキーは D だが、Jeff Beck はソロ・パートでのアレンジの必要性から F# にしたような気がする。 つまりソロ・パートでは F# と一音下の E のコード展開で、それには F# がギターとしては好都合だったからではと邪推するのだが・・・?
さて本題に戻ると、この曲の作者は(Willie Dixon-J.B.Lenoir)となっているが、リリースされたのはMuddy Waters のシングルが最初のようだ。 J.B.Lenoir の音源は残念ながら見当たらないので、このバージョンがオリジナルと考えていい。 わたしの手元にある音源では多分 Muddy Waters / HIS BEST, 1956 to 1964(the chess 50th ANNIVERSARY COLLECTION) に収録されているテイクがそれだと思われる。
但しこの録音も一度 Earl Hooker(John Lee Hookerの従兄弟)がインストルメンタルとして録音した "Blue Guitar" という曲に、後で Muddy がボーカルをかぶせたという説と、Earl Hooker が録音した "You Shook Me" の唄だけを Muddy が録りなおしたという説がある・・・とすると Jimmy Pagee も先祖の真似をしたと言えなくもない。
以下は例によって私の拙い聴き取りによる、摂訳付きの解説だが・・・(なので誤りはあるだろうという前提で)
you know you shook me, baby.
you shook me all night long
.(x2)
oh let keep on shakin' me darlin'
oh you'd messed up my happy home.
shook つまり shake の過去形。 セックスを意味する以外には考えられないが、なおも邪推すれば女性上位の体位だろうか。 それを all night つまり夜通し続けたわけだから、さぞかしお疲れだろうと思いきや、さすがに精力絶倫の Muddy だけに、しかも余程よかったのか、自分の幸福な家庭を壊してでも、もっと続けて欲しいらしい。
これは Muddy のバージョンの歌詞だが、Rod の歌詞もこの節は最後の "let keep on shakin'" が "the way that you love me, baby" と置き換えられているだけで、他はほぼ同じだ。 Muddy が「もっとやれ!」なのに対して Rod が「そんなにしちゃ」と控えめなのは、少し笑える。
 それに対して R. Plant は /You shook me so hard baby, Baby, baby please come home/僕をそんなに激しくやってくれちゃっちゃ!ベイビ、ベイビ、お願いだ、帰ってきてくれよ/ つまり分かれた恋人と再度めぐり合った気弱な青年・・・てな感じなんだろうか? まるで設定を変えてしまっている。
you know you move me, baby
just like a hurricane.
(x2)
oh you know you move me, darlin'
just like a eathquake move the land.
move には「感激」という意味もあり、普通に you move me と言えば「感激した!」といつぞやの総理の常套句になるが・・・それがハリケーン程に凄いとなると・・・しかも大地を揺るがす地震ほどにすごいらしい。 これじゃ身体の「動き」の方を連想したとしても間違いじゃないだろう。
第二節の Rod の歌詞は /you know you love me, just like a hurricane/そうさ、お前はオレを愛してる、まるでハリケーンみたいにね/ とこの曲のキワドさをかなり上手に手直ししている。 一節の扱い方からして、どちらかというと控えめに、でもやることはヤル、ってどこかニヤっとさせられる。 もっともそうなると「地震が大地を揺るがす」ワケにもいかないんで、最後は一節と同じ終わり方、つまり「そんなしちゃ、オレの幸福な家庭が破壊されちゃうよ」となるわけだ。 (ちなみに Jeff Beck Group のバージョンはアレンジがこの後エンディング・ソロ・パートとなるので、歌詞はここまで)
これに対して R.Plant は一節での気弱な青年路線をまっしぐら。 /I have a bird that whistles, and I have a bird that sing/僕はさえずる小鳥を飼っているけど、それはこう唄うんだ/ と少女趣味な歌詞と思いきや、その小鳥は絶頂期の喘ぎ声のように鳴くらしくて /I have a bird won't do nothin', A Ahhh..../僕は小鳥を飼ってるけど、アっそこさわっちゃヤダ、ア〜ゥ、ア〜ア〜/ と今にも射精寸前。 いや、女性向けにはよく出来たパフォーマンスかもしれないが・・・ (ちなみに ZEP のバージョンはここからマウス・ハープとギターのソロ・パートに入り、その後第一節に戻るので、実質的な歌詞はこれで終わり、あとあるモノといえば R.Plant の喘ぎ声か)
oh sometime I wonder
what my poor wife and child gonna do
(x2)
oh don't you make me mistreat my darlin'
oh lord may looks at you.
さすがに Muddy も少しは心配/後ろめたくなったのだろうか? 女房や子供達の事が心配になってきたらしい。 そこで、「オレを拙く扱うなよ、ダーリン」・・・しかしこのダーリンは女房か?それとも今セックス中の相手なのか? 「神様が見てるかもしれない」たって悪い事してんのはアンタだろう・・・とも・・・
lord may はいまひとつ聴き取りに自信のない部分 marine とも聴こえるんだが・・・そうすると奥さんの名前?とも考えられる。 それともすなおに "oh lord men look at you" だろうか? ちなみにここには上記の Earl Hooker の"You Shook Me"の歌詞が載っている(曲はUSオンリーで聴くことが出来ないようだ)。 それによるとこの最後の節は /now you done made me love you, Lord I just can't be satisfied/なあ、お前はオレにヤラせてくれたけど、なんてこったい、オレは満足できぜ/ となってしまう。 これじゃ彼女もやってられない。 または他にも B.B KingJohn Lee Hooker のバージョンもあるようで、それでは /she made me love her/ と女房のせいで彼女とできちゃった、とでもいった事?

by seven 17 Sept' 2007