Jはいつも誰かの為にならないかって目を光らせてたんだね。
例えばバスにのれば目の前にお年寄りがくればすぐに席を代わるし、
辛い仕事があれば平気な顔をしてそれを引き受けるし、
悩み事を聞けば自分でわかる範囲ではサジェスチョンをするようにしていたし・・・
ところが或る日全てがJに悪意の目をむけてきたんだ。
その理由がJにはわからない。
兎に角悪いことは重なるもので、なんでもJのせいにされちゃうワケさ。
さてJはなんて答えればいいんだろうか?
人生なんてそんなもの?
都合が悪くなれば、一番おさまりやすい場所におさまるもの?
そうかもしれないね。
でも・・・
でもJは考えた。
いつかは風は変わるもんさ。
変わればまた皆んなも違ってくるだろう。
その度に変えれる程器用じゃないんだし・・・
今はそのままに耐えていようじゃないか・・・
さてそんなヤワじゃない僕はJに言ったんだ。
連中は結果でしか評価できないんだぜ。
おまえさんが善人であるかどうかは結果でしかわからない程のボンクラさ。
少しはわからせるようにこころがけろよ。
するとJは言った。
それはおれの仕事じゃない。
おれは善意をきみの為にしてるんじゃない。
おれが在るためにそうせざるをえないだけさ。
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