11,May.05 (水) 00:51
 全財産を捨てるなら仲間にいれてやるといわれて、トボトボと帰っていく資産家の息子を見送りながら・・・イエスはこう愚痴た。 「まったく、金持ちってのは天国から一番遠い連中だぜ。 捨てようにも、身体に縛りついた権力ってヤツが、実は金でしかないって事に気付かない。 いやもし気付いていても、それを捨てる勇気がない。」

 それを聞いたユダはこころの奥でつぶやく。 「でもオレがヤツほどに財産があったなら、それをどう使おうと真剣に考えるのは当然とも思えるが・・・」

 怪訝な顔のユダにイエスが振り返って言う。 「そうとも、金貨何枚でナニが買えるかは知っていても、買えないモノを手に入れる方法がわからない。 金貨で憩える女は買えるが、その女の膝の上でどう憩うかを知らない。」 イエスはユダに片目を閉じると、マグダマのマリアの幕屋へと引き上げていった。

 確かにね。 オレは多くを抱え過ぎたから、いつかきみを裏切るんだろう。 でもしばらくはキミについていくぜ。 だってこれを抱えながらでも、しばらくはキミの気紛れについては行ける。 それも面白いさ・・・