30,Jun.05 (木) 00:52
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≪方便≫ 下根(げこん)の衆生を真の教えに導くために用いる便宜的な手段。また、その手段を用いること。法便。(1988/国語大辞典(新装版)小学館 1988)

きみは「ウソも方便」だという。 つまり結果オーライって事さ。 真の覚醒を得た者はもはや迷う事がない。 ではナゼ他人にそれを教える必要があるだろう。 彼は満ち足りている。 きみにそれを伝える必要などない。 だって真理はそれだけで満ち足りている。 きみの評価など必要ない。 でもそれじゃ寂しいんだ。

彼は呆れ果てる。 ナニを教えたものか。 諭せば冗談だといい、叱れば顔を背ける。 豚に真珠。 真理じゃハラはふくれない。 きみは満腹ならそれでいいのか? 食う為に生きるのか? 生きる為に食うのか? 余りにも虚しい。 この様なことから諭さねばいけないとは・・・余りにも・・・

しかし彼はこうも考えた。 もし富を持つ者が、それを独占しているとすれば、それは正しい事だろうか。 しかしまた、それを貧しい者に無理にでも押し与えたとしても、ナンの益があるだろう。 豚に真珠だ。 それならいっそその真珠で一晩の食卓を買い揃え、美味しい夕食で彼らを向いいれようではないか。 真に在るモノは無くなる事がない。 真の光は分け与えたとて尽きることがないのだから。

さて宴会が始まった。 みんな口々に好き勝手な事をわめき、好き勝手に踊りながら・・・さて彼は戸惑った、本当にこれでいいんだろうか? するとひとりの少女が竪琴を奏でながら唄いだす 「わたしは踊る/夢ははかないけれど/わたしの手を取って/わたしは踊る/あなたは夢だというけれど/わたしの手をとって/わたしは踊る/ダンス、ダンス」