15,Sep.05 (木) 00:59
 こんな話しを「E=mc2/ディビッド・ボダニス」から、かいつまんで・・・

 1919年、第一次世界大戦が終わった後のこと。 ドイツ帝国の戦略艦隊はイギリスに降伏し、スコットランド北岸沖のスカバフローに回航された。 ところが多分イギリスのお役人達は戦後処理で忙し過ぎたのだろう。 いっこうに沙汰が無い。 こんな時はダレだったヤケッパチになる。 ドイツの提督はダレかの噂話を信じて、戦艦が全てイギリス艦隊に没収されると思い込み、それならと全ての艦船を自分で沈没させてしまった。

 さて時代が過ぎて、第二次世界大戦後。 アメリカやソ連は広島や長崎だけじゃ気がすまなくて、その後も実験といいながらあちこちで大気中で核爆発を繰り返した。 おかげで大気中にはその放射性物質があふれている。 ところが困ったことに鋼鉄を作るには、その大気を大量に消費する必要があるのだ。 つまり第二次世界大戦後に製造された鉄には微量ながら放射性物質が必ず含まれてしまう。 困ったのは測定器を作るメーカー。 正確に測量しようにも、自分の部品中の鉄に含まれる放射性物質鉄に反応してしまうのだ。 これでは特に宇宙船などに搭載する高性能の測定器では使い物にならない。

 そこで注目されたのが上記のスカバフローで沈没した軍艦たちだ。 ナゼなら海底なら大気中の放射線物質の影響を受けない。 それに是ほどの大きさの鉄の船は、20世紀以降にしか製造されていない。 そしてスカバフローは元々戦艦の投錨地であるから、それほど水深があるワケではない。 つまり測定器のメーカーの技術者達にとっては、願っても無い(放射線物質を含まない)鉄の採掘場所となったワケだ。

 さてこのドイツの戦艦たちはその後どうなったのだろう。 引き上げられ解体されたそれらの鉄鋼は測定器として姿を変え、アポロ宇宙船やパイオニアなどに乗って宇宙に打ち上げられていった。 つまり『ドイツ皇帝の海軍の遺物』は次々と宇宙に運ばれることになったというワケだ。 さてこれを只の面白い話しと思うか、それとも・・・それでもまだ俺達は生きてるんだと思うのか・・・