15,Nov.05 (火) 23:27
 風俗店の人間の格付けは単純だ。 一番は売れてるコ。 二番目はその他の女性従業員。 三番目が店長で、最後は男の店員たち。 お客? 客は金と同義で人間じゃない。
 先週からバイトに来てる売れない俳人君は、そんな境遇に打ちひしがれながらオレの隣で客引きのビラをまく。 自分の詩集を出版するんだって。 顔を真っ赤にしながら「いいコいますよ」と料金設定をご説明。 同じさオレ達、これをどう自分で消化できるかを戸惑っている・・・
 金、金、金・・・この無くても生きれていいハズなのに、なければ生きれない、金、金、金。 オレは錠前しか鍵の無い部屋に住み、泥棒にそれを破られ、唯一の宝物のギターが盗まれて、イヤイヤ調べに来た警官からは知り合いの犯行だろうと言われる始末・・・金、金、金・・・金さえあれば・・・
 深夜のジャズを聞かせる飲み屋でオレはひとり愚痴ていた。 カウンターの向こうの店員が当時は珍しかったポラロイドを手に 「一枚いかがですか?」 魔がさしたんだろうね・・・そこに写っていたのは、まぎれもなくその時のオレだった。 もう若くはない。 でも眼だけはナニかを狙ってるような・・・