4,Feb.06 (土) 00:20
その鉄の扉には『形あるものよ、砕け散れ』と刻印がある。 僕らは何度も肩で押し、足で蹴りつけ「砕け散るべきはお前だ」と罵り・・・そして夜が始まり・・・
「あんた本当の空ってヤツを観たことがあるかい?」眼もみえぬ老婆がつぶやく。 生憎とオレは空がネオンで赤く染まる世界で生きてる。 興味は空じゃない、人間さ。 老婆はケタケタと笑い 「小さいね、生きてる場所が小さすぎる」
だから跳んでみた。 星と黒い平原のバランスの中を、漆黒と蛍火の隙間を、闇をまとい、光粒を従え・・・
「なにか見えたかね?」 いいやナニも。 僕は老婆の前に座り込むと、空を見上げながらつぶやいた。 いいや、ここで観たもの以上にはナニも・・・
4,Feb.06 (土) 21:40
オレは一匹の仔羊と九匹の狼の群れだ。 狼たちはたえず主導権を争い、時には主役としてやりたい放題をつくすが、結局は仔羊の意志に従っちまう。 なぜだかわかるかい。 だってこの仔羊、結構いいヤツなんだ。
大地の割れる音がした。 お前の思い上がりを脅すように。 蛆虫はその身のごとく地を這い回れと諭すように・・・ところが僕らときたら、ノンキにギターをかき鳴らし「すべての亡霊どもを呼び起こせ」とわめき散らしている。
カカシが片足をはずませながら騒ぐ 「罰が下るぜ」 司祭はワインの悪酔いに頭を抱えて 「そりゃ誰だって人生の最後にゃ罰を受けるさ、つまり死をね」 カミさんがダンナの手にすがり 「ねえアンタ、ここは危ないみたいだよ」 影で悪ガキがうそぶく 「そりゃクールだね」 どうってことない、そうやって数千万の夜が、そして数億の朝が過ぎたんだから・・・
全てが砕け散り、全てが失われ、そして最後の一粒の砂が無へと帰する時。 ヤツはこう呟くかもしれない。 どうってことないさ、この世界ってヤツも結構いいヤツだったもの・・・