22,Apr.06 (土) 16:12
フラウィウス・ヨセフスはイエスの実在を証明する(とされる)歴史書『ユダヤ戦記』の著者だが、同時に実際のユダヤ戦争(AC60-70)時におけるユダヤ側のガリラヤ指揮官でもあった。 そしてAC67年7月20日にヨタパタの敗戦でローマの捕虜となるのだが、この時に投降に反対する40人の仲間から逃れる為にあるトリックを行ったらしい。 いわゆる「ヨセフスの問題」とされるやつだ。
ローマ軍は元来敵の首謀者を捕虜とした時はローマへの凱旋時に処刑した。 なので最後に残った40人は敵国で生き恥をさらして処刑されるよりは自決しようと決意した。 しかしヨセフスは弁舌に自信がある。 なんとか投降できれば敵将を説き伏せて死を逃れれるかもしれない。(実際に彼はそれに成功する) なのでなんとか仲間を思い留まらせようとするのだが、誰も耳をかさない。 そこで彼は意を決したかのように、次の様な方法で集団自決しようと提案する。
すなわち各自が自分の剣で自決しようとすれば、優柔不断な者は躊躇ったままで生き延びてしまうかもしれない。 そこで籤を引いて一番の者は二番目の者の剣で、二番目の者は三番目の者の剣で、順次仲間のノドを掻き切っていき、最後に残った者は自殺するという方法だ。 実際にこの提案が受け入れられ集団自決は開始されたのだが...結局ヨセフスは神の摂理?により最後の籤を引き当て、自分の番になって相手を殺すのをやめた。 勿論自殺もしなかった。 最後の二人で投降したってワケだ。
ところでヨセフスは籤の方法までは記述していないが、元々死ぬ気のない彼が最後の籤を引き当てるなど、どうも胡散臭い。 またもしガラガラ・ポンで番号を引いて1から順番だったとすると、ヨセフスは40番を引いた事になる。 投降を主張していた彼が最後だと判っては仲間が納得しまい。 そこで後世の人々はヨセフスが、なんらかの方法で仲間がそうとは気付かぬように、自分が最後になるようなトリックを行ったと考えたワケだ。
ではどの様なトリックがありえるのだろうか。 ヘゲシッパス(AC370?)がこんな話を書いている。
「ヨセフスと彼の友人は何とか生き延びたいと思っていたが、他のものは自決を望んだ。いよいよ集団自決をする段になって、ヨセフスは全員を円形に並べ、3番目ごとに他の同士に殺してもらい、最後の一人は自殺をするという方法を提案した。これが認められたのでヨセフスと友人は16番目と32番目に位置し助かったという。」
これに従うとこの集団自決ルーレットは次の様に回る。
1→3→5→7→9→11→13→15→17→19→21→23→25→27→
29→31→33→35→37→39→2→6→10→14→18→22→26→30→
34→38→4→12→20→28→36→8→24→40→32→16
成る程確かにヨセフスが16番だとすると助かる。 しかも16が最後だと気付くヤツはそうはいない。 ではたまたまひとり足りなくて39人だったら、助かる為には何番になればいい? 世相物騒な折、そんな事を考えるのも一興かもよ・・・