Alive! she cryed....

朝の山手線の車両のはしっこ
なぜか人がとだえてて
急いで乗り込んでくる通勤客
空いてる場所にもぐり込んだつもりが
ただようニオイにたじろいて
戸口へと後ずさる
だよな、こんな時間に座席が空いているワケがない
そこには排泄ブツの匂いにまみれたホームレスの肉塊
どんなに混み合ってたって、こいつには近づきたくはない
なにもこんな時間に乗り合わせることはないだろ
そんなこんなでも山手線はグルグル廻り

真っ昼間にのりこんできた女子校生の一団
ねえなんだか臭はない?
チョウ嫌な臭い
一瞬奥のホームレスに気づいて
顔を見合わせ、話題を昨夜のテレビに変え
間を割って入ってきたオバさん
迷わずホームレスの隣に座ると
それから臭いに気づいたのか、顔をしかめながらも
あら、このひと良く寝込んでるはね
身動きもしない

やがて晩のラッシュ時
相変わらずホームレスのまわりだけは隙間ができていて
時間が経つにつれ乗客の目もアルコールの度合が増してはいるが
可哀想にさっきまで威勢のよかったオヤジさんも
このころにはユビ指すだけで嗚咽をこらえるのが精一杯
終電車になんとか間に合った一団
なんだよ今日はついてないねって
そうだね、今日は乗り換えの駅までの我慢大会だよ

結局かれの死に気づいたのは終点の駅員
この後車庫にはいっちゃいますよって
イヤイヤゆすってみると
肉塊はあっけなく通路に崩れ落ち
さっきまで保っていた座席には
肉塊から滴りおちた
体液のシミ

ほらキミ、それがそのシミだよ

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