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突然の陣痛の知らせに
驚いた亭主は会社から大急ぎで戻ると
始めての出産の彼女は部屋の真中で座り込んだまま
どうしよう、わたし破水しちゃったみたい
無線タクシーを呼ぼうと電話をかける亭主
でもこんな時に限ってタクシーはつかまらない
パニック状態の二人、そうだ救急車を呼んじゃおう
駆けつけた救急隊員、落ち着いて彼女を救急車まで運ぶと
行きつけの産婦人科の場所を確認して無線で連絡をとり
ウレシイのか不安なのか亭主はオロオロと
病室に運び込まれる彼女の後に連いてまわり
幸い宿直の医師は彼女の担当で
症状を確認するとすぐに彼女を分娩待機室へと運び込む
未だ出産までしばらくはかかると思いますので
ご主人は今の間に入院の手続きをお願いできますか
受付で手続きの最中に駆けつけた彼女の母親に出会い
そう破水したっていうからあせって救急車で来ちゃったンですけど
病院の職員が、そんなに急ぐ必要もなかったんですよ、と
それを横で聞いてた母親
だって始めての出産なんですもの、そりゃ心配しますよ
分娩室の前で待っていると担当の医師
ご主人は出産に立ち会われますか?
はい!お願いします
破水はおさまったのですが
赤ちゃんの為にも少し早めに出産させた方がいいでしょう
陣痛促進剤を打っておきましたので、まもなく出産が始まると思います
ご主人もご用意くださいね
白衣を着せられて入った分娩室の中
分娩台の上の彼女
陣痛はそろそろピークを迎えつつ
顔をゆがめて、何度ももうイヤって分娩台の上から降りようと
その度に看護婦に抑えつけられ
おかあさん、もうすぐですからがんばって下さいね
ご主人、奥さんの手をしっかり握っていてあげて
そう大きく息を吸い込んで
亭主は彼女の必死の形相にただオロオロと分娩室の中に目をさまよわせ
そうだ彼女の手を握っていなくっちゃ
彼女の上げる悲痛なうめき声にたじろぎながら
この壮絶な儀式はいったいいつまで続くんだ
出産は突然訪れた
大量の羊水とともに押し出されるように滑り出してきた赤ん坊は
医師の手の中に滑り込むと同時に大きくクチを開けて
最初の空気呼吸を体験した驚きに大声で泣き声を上げた
安堵の空気が分娩室の中にあふれて
臍の緒の処理を済ませると奥で看護婦に身体を洗ってもらい
赤ん坊と母親との始めてのご対面
よかったわね、奥さん可愛い男の子よ
亭主と二人目をあわせて微笑みながら
こころのなかでつぶやき会う二人
まいったね、まるでサルみたいにしわくちゃだよ・・・

.....never END