gru glue


スーはベスパとこたつに隣あわせ...僕はその隣でひとりビニール袋をふくらませ... スーは僕を見ていない。 ベスパとふたりでひそひそ話し。 盗み聴きなんてしやしないよ。 僕はスーを愛してるもの。 嫉妬だなんて普通すぎる。 僕はビニール袋をふくらませる。 僕の心を息といっしょに掃き出して、閉じた世界に結晶を磨き上げてるところ。 それがスーに見えないハズはないさ。 それをスーが感じないハズはない。 スーは僕を見ていない。 でも僕はスーを愛している...
昨夜はペペとナイルが僕とスーの部屋に遊びにきてた。 スーとペペが幻しの中にさまよってる間。 ナイルが僕にキスをした。 ナイルは僕のズボンを下げて自分のおしりを突き出す。 僕はナヨナヨの自分のおチンチンをそれでも彼のアヌスに押し込もうとするけど... 今度はナイルがやっぱりナヨナヨのおチンチンを僕のアヌスに押し込もうとするけど... ふたりして笑った。 スーとペペはまだ幻しの中。 それを見てるのかもしれないし。 でもどうでもいいことさ。 僕はスーを愛してる。 ペペもナイルを愛してる。 スーがどうかって? そんなことを詮索しやしないよ。 僕はスーのまどろみの中に、自分の居場所を感じてる。 通じてるのか、それとも通じていないのか... そんな不確定な愛の時間の中で、僕らはビニール袋をふくらませて...

スーとベスパはさっきから黙り込んでる。 スーの顔が赤らんでる。 ベスパの手がコタツふとんの中でこきざみに動いてる。 ベスパのニヤ笑いはきらいだ。 僕はより一生懸命に自分のビニール袋をこね回す。 僕とスーが肌をこすりあわせてるように... 僕の愛が少しでも彼女の中へ染み込んでいくように... スーは目を閉じている。 ベスパはスーを眺めながらニヤけ顔。 ベスパのニヤ笑いはきらいだ。 きっと僕を笑ってるつもりなんだろうけど、笑ってるのは実は君自身さ。 スーだってそのことを知ってるよ。 僕はビニール袋をこねまわす。 本当の愛が結晶を結ぶのをながめてるんだ。 その中にスーがいて... でもそれじゃスーを閉じ込めてしまう。 スーは目を閉じている。 ベスパの手がこきざみに動いてる。 僕はスーを愛してる。 でも今は混乱...

電磁層をかけめぐる精霊たちのざわめきの渦
極小から極大へと続くメビウスの輪
自分というウツワからそのリングをエレベータのように上下する自我
存在は実在の写し絵
僕はスーを探してる
いつまでもたどりつけない僕の裏側

「そろそろ帰ろうか」 「そうだね。」 ベスパの入れてくれたコーヒーを二人してすすりながら... 「ねえ! 今度のライブいつだっけ?」 「ああ、なんだか主催者がゴタゴタしだしちゃってね。」 「そうか、うまくいけばいいのにね。」 「きまったら知らせるよ。」 「うん。お願いね」 スーはなんて可愛いんだろう。 僕はスーを愛してる。


by seven 14,Oct'99