ugly as old ...
…で、それから M どうしちゃったの? |
|
三人は円筒形の石油ストーブを囲んで紅茶を飲んでる…手がこごえてるから両手をカップに回して、まるでその手をあぶるみたいにストーブにかざし…スピーカーからはさきほどこの部屋で演奏した音が流れ… G はひざを組んで…自分の詩集をそのひざに乗せながら、ステレオの音にあわせて無音でくちずさみ… M はさっきまで叩いてたドラムのスティックを、今度は自分のひざ相手に打ち込んでいるところ… わたしは腕の中のギターのネックに少し温まった手を置きながら… 「ごめんよ、ここ少しリキんでみたくなったんだ」…時間はゆっくりと過ぎている。「そう悪くはないじゃん」…なんでこんなに落ち着いちまってるんだろう…「そう?それならいいんだけどさ」…網戸からの白い光が G の手元でゆれている… |
|
受話器の中でビー玉がはじけた…はじけたビー玉は わたし のこころの中である懐かしい風景を魚眼レンズ風に映している。そうだよ…あれは随分昔しのことだっけ?…未だ時間が輝いていた時代だね…時間の女神様、あんたこのごろ少しトシマのゴーマンさを感じさせるよ…少ししか無い魅力を一番飢えてる男の前にぶら下げるみたいな…そうだよ、あの頃はあんなに魅力的だったのに、 わたし ときたら有り余る「時間」にうんざりしてて…どうすれば無駄使いができるかなんてことばっかり考えてた | |
|
|
わたしがあこがれをむけるモノとは 数日後 G はベッドの中にいる M のところに最近帰ってなにんだって? |
|
|
|
時間は不確かな快感の中にある なくしたものを見つけるのは簡単だ。 でも何をなくしたのかを見つけるのは大変だよ |
|
|
翌朝わたしがコインランドリ−に行ってるあいだに |
君が一番に欲しかったモノはナニ? |
|
|
夜のバイトに向かう電車の中で |
|
|
|
中央線の車窓から差し込む夕日は車両の床をなめるように走っている |