さあキミの運が試される時だ
盲目と疑心

ピンで壁に留められた薄っぺらな紋章
10数える間にそれを掴むんだ
さあグズグズしないで

1、2、3、・・・

僕は震える手を伸ばし
するとヤツは重力を持て余したかのように僕を吸い込んで

ERASE ME!
オレを消去しろ!

谷底から湧き上がる声
崖からその出所を探すのだけれども
吹き上げる湿気含みの風に視界を遮られて

ERASE ME!

汚濁の沼に潜む水晶宮
またはそれを呑みこんだ邪悪なドラゴン
腐臭漂う息が呟く

悦楽は永遠じゃないぜ

突然の悪寒に震える僕を睨みつけ

永遠に続く悦楽は監獄と成り果てる

悪霊よ消え去れ!
義はそれを夢見る者にしか宿らない

僕は確かにそう言おうとしたんだ
でもこの口から出た言葉は

ERASE ME!
オレを消去しろ!

また僕は右手に小刀をもって
そうだ昔鉛筆を削る為に持ち歩いてたヤツだ

すると左手のひとさし指が
みるみるウチに鉛筆へと姿を変えて
それで僕は座り込み
右手の小刀で左手の鉛筆を削り出す

痺れる様な痛みと
嘔吐を伴う快感に浸りながら

さあキミの運が試される時だ

またお前さんかい
僕はベッドの上に手を伸ばすと
鳴り止まない目覚し時計を探しながら

・・・