Aju's dream...
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ホームの喫煙コーナー
スーツ姿に腕組みをしながら煙草をくゆらせるわたし
この後の予定を頭に組み立てながら
先程の顧客の失礼な態度を忘れようとしながら
その横を
3人組みの女子中学生たち
タータン・チェックのスカートから長い生脚をみせびらかし
何故かみんな右手に細いステッキを持ちながら
やってきた電車の車両の中央まで乗り込むと
そのステッキで電車の揺れから身体をささえながら3人たむろする
中央の座席に座っていた男
その奇異な取り合わせに多少おどろきながらも
手にしたマンガ雑誌ごしに生脚を眺め妄想に顔をにやけさせ
それに気づいた少女のひとりが突然手のステッキを男の股間に突き上げる
おどろいた男
股間から這い上がる痛みに顔を赤らめながらも
少女3人の目に睨まれながら声をあげることもできず
逆に他の乗客達の何が起きたのかという不審な目にさらされて
いたたまれずに次ぎの駅についたところで電車から逃げ出した
残された空席はそのままに
3人組みの女子中学生たちも何事もなかったかのように
そのままに
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煙草を吸いおえたわたしは電車に乗るのをやめてホームの階段を降りると
改札口から取り出した定期を定期入れにしまい
中に一緒にしまってた知り合いのレストランのマスターの名刺をとりだして
住所をたよりに彼の店をさがしはじめる
会社には後で電話しとけばいいわ、どうせまた文句いわれるだけだし
このあたりは土地感があったのですぐに目的のレストランを見つけると
知り合いのマスターは生憎の不在で、無愛想な店員がわたしを窓際の席へと案内する
確か牛ヒレ料理が自慢だとか言ってたっけ
油っこそうだけど、こんな無気力な時にはいいかもしれないわね
オーダーを済ますと先に運ばれてきたハーブティーを口に運びながら窓の外を眺めてた
午後の熱風からのしばらくの避難
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おまえ旨いもの食ってないんだろ!
夕暮れ時の寿司屋のカウンター
年配の上司は突き出たハラを気にしながら
目の前のにぎり寿司の皿を部下の前に移して
おれはヒカリモノは食えないからお前にやるよ、ほれ・・・
これだから戦後生まれのオヤジは困るんだなどとこころに愚痴ながら
若い部下、ありがとうございます、などと笑顔を作ってクチの中にほおばる
となりで一部始終をみていた初老の男
キミ、それじゃあまりにミジメすぎないかね
なんだか厄介なヤツが声をかけてきたなと思いながら若い部下
それでも笑顔を絶やさずに、いえ僕これ大好きですから
話しを聞きつけた上司
そう、こいつはオレのいう事はなんでもきくヤツなんですよ
まったくこのごろの若い連中は気概ってものがないのかね
あなた、それを彼らにもとめちゃいけませんや
それこそチンポコをなめろと命令したら、その通りにしかねないヤツなんですから
おいそれってオレにそうしろって事かい?
はい、勿論わたくし部長のご命令とあれば3本の御ミアシのどれでも舐めさせていただきますです
キミそれは本当かね
年配の上司と初老の男、一瞬目を合わせるとニタッと笑い
年配の上司、ベルトをゆるめてズボンの前を開け出して
おいウソだろ、こいつ本気でオレにチンポコしゃぶらせるつもりかい?
笑うしかないだろ・・・笑うしか・・・
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人ゴミの絶えない交差点
デパートの壁によりかかったホームレス
人波を見ながら独り愚痴ている
オレはおまえらが楽しそうなのが気にくわないんじゃない
楽しくもないくせに笑ってるのが我慢ならないんだ
ケミソール姿の彼女は日焼けした男の腕に寄りかかり
ほてりを冷めたハダで癒しながら
拡声器から流れるキリストの救いの言葉
耳をふさぎながら
わたしあれが我慢ならないのよ
気にし過ぎだよ
だってまるで強制収容所の局内放送みたいじゃない
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レストランの化粧室
わたしは鏡の前
先程水洗トイレに流した牛肉の残りカスをクチからぬぐいながら
頭の中で騒いでる雑音達にたじろいでいる
生きる事への拒絶
活きる事への服従
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