イエス 

 左の御仁の名前をご存知だろうか? 実は世界で一番有名な人物、つまりキリストとして名高いナザレ人イエスである。 勿論誰も二千年前にタイムトラベルして会ってきたワケではない。 現代の科学者が当時のガリラヤ地方のユダヤ人としておそらくはこんな顔立ちであったろうと想像して描いた絵(注1)だ。

 だがそれは我々が普段よく目にする中世の画家たちが描いたイエスの面影とは余りに違いすぎている。 髪は短く縮れていて、しかも浅黒い顔の真中にいかにもユダヤ人的な鼻が突き出ている。 いや中世の画家たちの描いたイエスは、あくまでイエス・キリストであり、神の右隣に座している「神の子」である。 それがユダヤ人イエスと同じ顔立ちである必要はないのかもしれない。 しかし、それは余りにヨーロッパ的美意識に彩られたキリスト像でもある。 つまりイエスからユダヤ的要素を取り除こうとしたキリスト教会の意図が描かせた架空のイエス像であったのではないだろうか。

 このページはその本当のイエス像に迫ってみようという、わたしの無謀なこころみである。(注2)

... to next


(注1) 正確には2001年にイギリスBBC放送がイスラエルの考古学者の協力を得て、AD一世紀頃の典型的なユダヤ人の頭骨をCG処理により再現したもの。 つまりこの絵はイエス本人ではなく、イエス当時のユダヤ人の標準的な風貌と考えるのが正しいだろう。
 しかし、だとしても一般にイメージされるイエス像は余りにもヨーロッパ的に過ぎる。  大体イエスの同時代人が描いたイエス像は存在しない。 しかも福音書を信じるならイエスの遺骸は復活時に消えうせている。 つまり本物のイエス像を知る者は誰も居ないのだ。
(注2) あえてキリスト教徒でもないわたしが、このようなテキストを書いてみようと思ったのは知的好奇心以外のなにものでもない。 またこのような考察はギリシャ語やヘブライ語の知識が必要だろうが、わたしにはその素養はまったくない。
 しかし言い訳でしかないが、このテーマは調べる程に色々な一面を見せてくれる。 時にはそれはそのテキストを書いた時点でのわたし自身の仮説でしかないかもしれない。 しかし、だからこそ新たな視点もあるハズだ。 なのでわたしは誰かの意見を丸写しするのではなく、それなりに自分で考えた結果に従って書いてみたい。
 故にこれらの文責は全てわたしにある。 批判は謙虚に受け止めたい。 また自分が納得できる間違いは、その都度修正していこうと思う。