X'mas って ?

確か去年のクリスマスの少し前。 彼女は顔を傾けながら

ねぇパパ X'mas って、どういう意味なの?

 さて確か「マス」って祝日の意味で「キリスト+マス」でクリスマスだから「キリストの祝日」、つまり「キリストの誕生日」って意味だと思うけど・・・ それからずっとその答えが頭のどこかにひっかかったまま、年が明けて今年の二月。 
18,Feb.02 (月) 14:08 日記より・・・

 駅の本屋さんで物色してると「悪魔の起源/エレーヌ・ペイゲルス」が目にとまる。 確か「死海文書の謎」の著者だっけ?(正しくは「ナグハマディ写本」) とすると期待できそうだ。 それに「悪魔」という概念のあやふやさは以前から感じていた。 だってユダヤ/キリスト教は本来二元論的世界観とは無縁のハズだ。 主は万能であり敵対できる存在など在り得ない。 それはユダヤ的宗教観のライバルであったゾロアスター教や東洋思想(ヒンデュ)の概念ではなかったか? 早速井の頭線の急行に乗 り込んで読み始める。

 最初の章は紀元66年からのユダヤ戦争、そして当時のユダヤの歴史家ヨセフ・マッテヤ(フラウィウス・ヨセフス)についての記述から始まる。 若くしてローマの富と軍事力を目の当たりにし、そして図らずもそのローマとの戦争に荷担させられ、後にローマ側に寝返りエルサレムでのローマ軍による強姦、略奪、虐殺を目撃することになる。

 キリスト教的には新約聖書が成立する直前の時代。(現代の説では新約聖書で一番古い書籍はパウロ本人が書いたとされるいくつかの手紙書簡で、AD64年頃には殉教している事からおそらくAD50〜60年の間。また福音書ではマルコが最古で、おそらくユダヤ戦争(AD66〜70)の前後、そしてマタイ、ルカ、ヨハネはAD70〜100の間。 そして現在の新約聖書という形で成立したのはAD200年頃と推定されている。) 使徒の幾人かはマダ生きていたかもしれない。 皇帝ネロによる迫害。 またそれに対抗する殉教主義が地下礼拝堂で熱烈に叫ばれた時代。 ユダヤ内部でもサドカイ派、ファリサイ派、エッセネ派等の抗争。 選民思想を背景にした熱烈なユダヤ・ナショナリズム。 そんな狂信的宗教運動の動乱の最中、ある意味では一番マトモな人間が巻き込まれた悲劇。 歴史家ヨセフ本人の評価は別としても、そのモチーフは面白そうだ。

 実はこの後フラウィウス・ヨセフスを主人公とする舞台劇をでっちあげてみようと思い少し筆を進めてみた。 ところがエルサレム崩壊の史実の前後の資料が少な過ぎる。
 早速 Amazon で関連しそうな書籍を購入して読み漁ってみたのだが、ここには今まで自分が把握していたのとはどうも違うキリスト教の実態が記述されている。
 イエスが十字架に架けられたとするAD30頃から四福音書が記述されたAD100年頃までのユダヤ、そして初期キリスト教会の成立について、もう少し調べてみる必要がありそうだ。
 たとえば今まで漠然と捉えていた「イエス・キリスト」という名前。 「ナザレ派のイエス/前島誠」にこんな記述がある。
 イエスという名は、実際のヘブライ語では YShVa(イェシュア)だ。 本来この名は YHVShVa(イェホシュア=主は救い)という綴りである。 ヘブライ語は H の音が弱いため、発音するとヨシュアに聞こえる。 イェシュアはその短縮形に当たる。 ところでガラリア人は、アインの文字(語尾の a、雑音)がほとんど発音できないため、さらに縮まって“イェシュー”という音になった。
成る程 イエス という名前はわかった。 だがでは キリスト とは・・・

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