prologue

彼が中華そばを食べたくなったのは
打合せ後の呑み会でしこたま酔った帰りにホテルにチェックイン
それで部屋に入ってテレビをつけたらドラマをやっていて
ヒロインがラーメンを食べている
最近はクールビューティな出来る女性を演じていて
そんな彼女が豪快にすくった麺を大きく広げたクチに吸い上げ
その食いっぷりがあっぱれで、そして多少セクシーで
それ以上に胃袋を刺激して

そうだ中華そばを食べたい

ただ食欲を満たしたいだけならコンビニ
または2Fの自動販売機で売ってるカップ麺
でもそれじゃ虚しい、どこか店で食べたいよなと
あの前日から煮込んだスープのエネルギー感を味わいたいんだ

時間は遅いがこの街は以前に来た事もあり土地勘も少しはある
今時の地方都市なので中心街はとっくに閉まっているだろうが
駅前のビジネスホテル街だもの
彼の様な呑み会あとの出張族がまだうろついている時間ではあり
シメのラーメンをあてにした店がいくつかは開いているハズ
そう思うと居てもたってもいられず部屋から駅前に出て


by seven 2022/08/01